「裁判員の負担」死刑求刑裁判の報道がおかしい
裁判員裁判で死刑求刑が相次いでいる。そして、いまさらのように裁判員の精神的負担を問題視する報道が非常に目立つ。こうした事態を招くことは当然予想されたことであるのに。
裁判員の精神的負担が今になって声高に叫ばれる理由はなぜか。
それは、裁判員の負担というものに国民が気づいていなかった、もしくはそこまで深刻に考えていなかった、ということに尽きる。報道機関すら、いや報道機関こそ、制度開始前の報道を思い返すと、「被害者感情」もしくは「国民の義務」などという言葉がむしろ先行していたのではないか。
特に、光市母子殺害事件のように被害者遺族の悲痛な叫びがテレビを中心に繰り返し報道され、職業裁判官による判決に遺族感情が加味されていないのではないかとか、世論(世の中の常識)と判決が乖離しているのではないか、といった論調が強まり、これが裁判員制度の導入を後押ししたように思う。
しかし、遺族の存在によって犯した罪の重さが変わるというならば、それは罪刑法定主義から外れてしまうし、エスカレートしていずれは魔女狩りのような事態を招く恐れすらある。殺人のような重大裁判こそ職業裁判官が淡々と判断を下すべきだ。こんなことは制度の導入前から分かっていたことだ。
ここにきて、各報道機関は手のひらを返したように、裁判員の精神的負担面をクローズアップしている。自らの報道が制度導入を後押しした面があることは忘れて。遠回しな言い方だが、社説で見直しを訴える内容のものも多い。
そしてこのことが報道をさらにゆがめてしまっている。NHKは判決をこう伝えた。
「裁判員裁判で初 少年に死刑判決」(NHK)
裁判員裁判で初めて、という新しい事柄に焦点をあてざるを得ないのはニュースの宿命だ。そして判決後の会見で「つらかった」、「涙を流した」といった裁判員のコメントをかなり厚めに伝えた。現在の制度状況では、これは伝えなければならない事柄だろう。全国民に裁判員に選ばれる可能性があるのだから。
しかし本来は、事件と罪と量刑そのものがクローズアップされるべきなのに、裁判員の心情や苦しみを伝えることで、相対的に事件の本質の部分が軽視されてしまっているのだ。
もう1本、記事の見出しを見てみる。
「鹿児島夫婦殺害 裁判員裁判でまた死刑求刑か」(スポーツニッポン)
あたりまえだ。死刑が求刑される事件はほぼ毎週のようにあるだろう。これは見出しが悪いのではない。どう考えても裁判員制度そのものがおかしいということだ。
なりたくない人のための裁判員入門 (幻冬舎新書)
SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~
裁判員の精神的負担が今になって声高に叫ばれる理由はなぜか。
それは、裁判員の負担というものに国民が気づいていなかった、もしくはそこまで深刻に考えていなかった、ということに尽きる。報道機関すら、いや報道機関こそ、制度開始前の報道を思い返すと、「被害者感情」もしくは「国民の義務」などという言葉がむしろ先行していたのではないか。
特に、光市母子殺害事件のように被害者遺族の悲痛な叫びがテレビを中心に繰り返し報道され、職業裁判官による判決に遺族感情が加味されていないのではないかとか、世論(世の中の常識)と判決が乖離しているのではないか、といった論調が強まり、これが裁判員制度の導入を後押ししたように思う。
しかし、遺族の存在によって犯した罪の重さが変わるというならば、それは罪刑法定主義から外れてしまうし、エスカレートしていずれは魔女狩りのような事態を招く恐れすらある。殺人のような重大裁判こそ職業裁判官が淡々と判断を下すべきだ。こんなことは制度の導入前から分かっていたことだ。
ここにきて、各報道機関は手のひらを返したように、裁判員の精神的負担面をクローズアップしている。自らの報道が制度導入を後押しした面があることは忘れて。遠回しな言い方だが、社説で見直しを訴える内容のものも多い。
そしてこのことが報道をさらにゆがめてしまっている。NHKは判決をこう伝えた。
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裁判員裁判で初めて、という新しい事柄に焦点をあてざるを得ないのはニュースの宿命だ。そして判決後の会見で「つらかった」、「涙を流した」といった裁判員のコメントをかなり厚めに伝えた。現在の制度状況では、これは伝えなければならない事柄だろう。全国民に裁判員に選ばれる可能性があるのだから。
しかし本来は、事件と罪と量刑そのものがクローズアップされるべきなのに、裁判員の心情や苦しみを伝えることで、相対的に事件の本質の部分が軽視されてしまっているのだ。
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あたりまえだ。死刑が求刑される事件はほぼ毎週のようにあるだろう。これは見出しが悪いのではない。どう考えても裁判員制度そのものがおかしいということだ。
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- このエントリーのカテゴリ : 社会
- テーマ : 刑事事件・裁判関連ニュース
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Author:ナナメ180度
記者出身。今はニュースを出稿する立場ではないので、仕事と離れた位置からあれこれ語ります。
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